司法試験の「予備試験」に合格すると司法試験の受験資格を得ることができます。
司法試験を受けるには、「法科大学院ルート」もありますが、法科大学院ではなく「予備試験ルート」を選択する方も増えています。
ここでは「予備試験ルート」を選択することのメリットとデメリットについて解説します。
目次
予備試験受験のメリット
司法試験の受験資格を得る方法として「予備試験ルート」を選択することのメリットを話します。
メリット①「誰でも」受験可能
予備試験は、最終学歴や年齢に関係なく、誰でも、何度でも受験することが可能な試験です。
大学卒業資格がなくても、また法科大学院を卒業していなくても受験できるので、大学生や法科大学院生で受験する方も相当数いらっしゃいます。
また実際に現役の高校生が受験して、高校生ながら予備試験に合格する方もいます。
社会人の方が働きながら何度でもチャレンジすることができるので、挑戦しやすい試験です。
メリット② 時間的・金銭的負担が少ない
予備試験ルートではなく、法科大学院ルートを選択する場合、大学院を修了もしくは修了見込みとなった段階で、初めて司法試験の受験資格が得られます。
法科大学院を修了する期間は、既習者コースだと2年間、未修者コースであれば3年間という時間を費やす必要があります。また学費が必要ですし、法科大学院に通いながら働くことは難しい面が多いことでしょう。
その点、予備試験ルートを選択する場合、法科大学院ルートのような時間的・金銭的コストを抑えることができるのです。
社会人で働きながら合格を目指したい人や、独学で合格したい人にとっては、予備試験ルートを選択することは大きなメリットになります。
メリット③ 司法試験の合格率が高い
予備試験対策の勉強は、司法試験対策と共通しておりますし、また直結する内容が多いです。
短答式試験 | 論文式試験 | 口述式試験 | |
予備試験 | ◯有り | ◯ | ◯ |
司法試験 | ◯ | ◯ | ×無し |
<短答式試験>
予備試験の短答式試験は、憲法・行政法、民法・商法・民事訴訟法、刑法・刑事訴訟法、一般教養から出題されます。
司法試験の短答式試験は、民法、刑法、憲法から出題されます。
<論文式試験>
予備試験の論文式試験は、憲法・行政法、民法・商法・民事訴訟法、刑法・刑事訴訟法、選択科目、法律実務基礎科目(民事・刑事)から出題されます。
司法試験の論文式試験は、憲法・行政法、民法・商法・民事訴訟法、刑法・刑事訴訟法、選択科目から出題されます。
試験対策において共通する点が多いせいか、予備試験ルート出身者は、法科大学院ルート出身者よりも、司法試験の合格率が高い傾向にあります。
例えば、直近の2023年度の司法試験の合格率で見てみると、法科大学院出身者が40.67%であるのに対して、予備試験合格者は92.63%と非常に高い合格率です。
メリット④ 法科大学院入試に変更することも可能
予備試験の受験対策は、「法科大学院入試」対策と通じるため、
予備試験の勉強をしてみて「短期合格は難しい」と感じたら、「法科大学院ルート」へと転向することが可能です。
メリット⑤ 大手法律事務所は予備試験合格を好む傾向
大法律事務所への就職を考えている方は、予備試験合格を視野に入れるべきです。
なぜなら、従来より大手法律事務所においては、「予備試験合格者」を採用する傾向が強いからです。
勿論、法科大学院を修了して司法試験に合格した方も大手法律事務所に就職しているのですが、より確実に大手法律事務所に就職したい場合には予備試験を視野に入れると良さそうです。
予備試験ルートには多くのメリットがあります。
予備試験受験のデメリット
デメリット① 予備試験は合格率低い→難関
予備試験は難関試験なので、最終合格の合格率は、例年3〜4%前後で推移します。
合格率から考えると、法科大学院の合格率に比べて、予備試験の合格率は非常に低いので難関です。
予備試験は少し勉強して頑張って受験すれば、誰もが合格できるような簡単な試験ではありません。
短答試験 | 論文試験 | 口述試験 | 最終合格率 | |
令和5年(2023) | 20.1% | 19.01% | ||
令和4年(2022) | 21.75% | 17.85% | 98.13% | 3.63% |
令和3年(2021) | 23.24% | 18.19% | 98.11% | 3.99% |
令和2年(2020) | 23.84% | 19.02% | 95.67% | 4.17% |
令和元年(2019) | 22.89% | 19.15% | 96.36% | 4.04% |
デメリット② 法科大学院ルートより時間がかかるリスク
予備試験は非常に難易度が高く、合格率の低い試験なので、何回も受験して不合格になる人がいます。
法科大学院ルートの場合ですと、入学試験に合格さえしてしまえば、法科大学院を修了するか、または修了見込みの状態で司法試験の受験資格が手に入れることができます。
ですから、
予備試験ルートを選択する場合には、予備試験に1回または2回で合格しないと、法科大学院ルートを選択する場合よりも時間がかかってしまうことになります。
短期間で予備試験に合格できる自信がないのであれば、法科大学院ルートを選んだほうが、司法試験を早く受験することになります。
デメリット③ 独学では合格は難しい
予備試験は難関試験ですから、しっかりと受験対策をしなくてはいけません。
法科大学院の通っていれば、合格者である卒業生や、司法試験の教官を務めている先生、そして法曹実務家から学習指導を受ける機会に恵まれています。
「どのように勉強すれば合格できるか」といった受験ノウハウを容易に得ることができる環境が整備されています。
一方、
予備試験の受験生は、基本的には「独学」での受験環境となります。
意図的に自分から動いて学習方法を模索することになるので、効率よく勉強することが難しいケースが多いのです。
ですから、予備校をうまく活用して、予備校から合格者の情報をゲットするなどして、合格に直結した勉強方法で学習する必要があります。
予備試験の受験メリットはあるの?
前述したように、予備試験の受験メリットはあります。
予備試験に1回か2回で合格できるのであれば、予備試験ルートを選択するメリットは計り知れません。
しかし、多くの方は予備試験に合格するまでに複数年かかってしまうという現実も無視できません。
短期間で合格できないと、予備試験ルートを選択すること自体にリスクがあり、金銭的、時間的、労力的な面でデメリットがあると言えるのです。
法律初学者であれば、
まずは法律の勉強を始めてみて、それから予備試験ルートにするか、法科大学院ルートにするかを選択することが一番良い気がします。
しかし、社会人受験生などは予備試験ルートしか選択できない方が多いと思いますから、働きながら受験する方は覚悟を決めて「予備試験ルート」で勉強をすることは正しい選択かと思います。
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