司法試験・受験

法科大学院修了生の初受験合格者が語る⇒一発で司法試験の論文試験に合格する方法

弁護士の安達
弁護士の安達
司法試験の受験生に学習指導をしています。法科大学院を卒業して1回目の試験で合格しました。

「法科大学院生が一発で論文試験に合格する方法」についてお話しします。

(最初に)司法試験とは何か

今回は現役の法科大学院生の方を対象に、一発で論文試験に合格する方法をご説明したいと思います。

司法試験に一回で合格するとなると難易度が高そうな話です。

司法試験受験を目指しているロースクール生は、日々大きなストレスに晒されていることだと思います。

しかし,ここ直近のデータをみてみても3割近い受験生が合格しており、短答の足切りを突破した受験生の4割を超える人が合格しています。
司法試験とは決して合格できない試験ではないのです。

司法試験の配点

まず,はじめに倒すべき相手を正面から捉えましょう。
司法試験とどのような試験なのかご説明します。

司法試験の配点構成

司法試験とは以下のような配点で構成されています。

短答(合計175点)
憲法 50点
民法 75点
刑法 50点

論文(合計800点)
公法系(憲法・行政法)    200点
民事系(民法・会社法・民訴法)300点
刑事系(刑法・刑訴法)    200点
選択科目           100点

論文式試験と短答式試験の比重

法務省が公表している「司法試験における採点及び成績評価等の実施方法・基準について」という文書にはこのように書いてあります。

短答と論文の総合評価の在り方について

・比重は短答式:論述式=1:8とする。
・総合得点 = 短答の得点 +( 論文の得点 × 1400 / 800 )

この数式からさまざまな評価が可能になります。

論文式試験は単体では800点満点だったものが総合評価の段階で1400点満点になっていることから,短答の1点より論文の1点は1.75倍の価値がある。

短答式試験も重要ということを理解

短答と論文の比重は1:8です。論文式試験の科目が8科目である点,短答式は「9科目」目の試験科目だと考えることも可能です。

今回は論文式についての記事ですが,決して短答を軽視してはいけないということは強調しておきたいと思います。

論文との比重が低いのは明らかですが,短答式は点数が取りやすい(まぐれでもあたりうる)のです。

しかも憲法・民法・刑法の条文解釈を総ざらいで学習することになるため憲法・民法・刑法の論述における基礎力の向上が図れます。

弁護士の安達
弁護士の安達
短答式試験も重要だということを理解した上で、論文式試験の対策をしましょう。

一発で論文式試験に合格⇒①過去問研究と出題趣旨の研究をすること

司法試験の論文過去問

まず,とにかく論文過去問を解いてください。

司法試験に合格するために重要なことを「1つだけ」挙げろと言われれば,迷わず過去問を解くことを挙げたいと思います。

理由はただ一つです。それは,試験本番に実際に向かい合う相手だからです。

受験生の多くは過去問に取り掛かることを先送りにしがちです。その理由は簡単です。
それは,過去問が解けなかった場合、自分の実力が合格レベルに達していないことに否が応でも直面してしまうからです。

しかし,だからこそ,今すぐにでも過去問に触れるべきなのです。自分のレベルを把握できれば有効な対策を講じることができます。

出題趣旨も重要

そして,過去問と同じだけ重要なものは「出題趣旨」です。出題趣旨は問題文以上に重要です。

出題趣旨に書かれていることは,論文試験で司法試験考査委員が解答してほしい「項目」です。

そして重要なのはすべての項目を解答できることではありません。「どの項目を落としてよいのか」を知ることです。

本試験においては、解答のための十分な時間も知識も不足しがちです。
だからこそ選択と集中が大事になるのです。

出題趣旨を読めば、

「どこを手厚く書いてほしいのか」
「どこに頭を悩ませるべき論点があるのか」

が分かります。

それ以外の部分を限られた時間の中でいくら濃厚に起案したとしても、点数は見込めないのです。

問題を読んで必要な要件を

論文式試験の問題を読んで、自分の頭で質問に対する答えを決めましょう。

そして結論を導き出すために必要な全ての要件を揃えます(1つでも要件が欠ければ結論が導けません)。

その要件の中で今回問題になっている要件は何かを炙り出します(経験上,設問ひとつにつき1~2個の解釈論が要求されがちです。)。

この全ての段階で「学び」があるはずです。

まず,要件は漏らすことなく挙げられましたか。条文を間違えたり全く違うことを解答していたりするのがこの最初の段階のつまずきです。

要件に解釈が伴わないか

次に要件があげられたとして、設問から要件に素直にあてはめられるものか。判断に迷うものがあるか気づけましたか。

一筋縄ではいかない事例に対して容易に要件具備を認めてしまうような解答を書いてしまうのが次の段階でのつまずきです。

要件も問題の所在も適切に起案できているのに「結論が変」というパターンもあるかもしれません。

採点実感という採点社の回顧録

なお,出題趣旨の他に「採点実感」という回顧録のようなものもあります。

採点実感は採点者の愚痴が書かれているので一読する価値はありますが,あまりに求められているレベルが高すぎる場合があるので個人的には出題趣旨を補充できる記載に限り真剣に目を通していました。

論文の過去問は何度も解く

上記のことを意識して,過去問は何度も解き直してください。

今説明したように「つまずき」には様々な「段階」があることがお分かりいただけたと思います。そのすべての段階をパスしないと結論までたどり着けません。

2回目を解くときに意識すべきことは同じ段階でつまずいていないかを確認することです。

ここで前回と同じ段階で間違えてしまった場合は,自分の理解が未だ不十分であることが分かります。そこで,次は必ずここでつまずく理由を突き止める作業に移ります。

他方,前回間違えた段階をパスできた場合,無数の選択肢の中から求められたルートを選べたことになります。この場合自分の理解は成長したことが分かります。

以上のような作業を有効に機能させるには前回の解法を「忘れている」ことが必要です。

したがって,忘れる前に復習しないでください。一定程度期間を開けてから2回目を解きましょう。

一度忘れた解法を頭の中で再構築して結論まで一本道で繋ぐ作業こそが試験会場に持っていくべき感覚です。

一発で論文式試験に合格⇒②時間制限内の中で起案すること

論文式の過去問題を解くときには、できるだけ早期から、決まった時間内で解くようにしてください。

勉強始めの頃は1.5倍の時間をかけても構いません。限られた時間内に書き上げるということを意識してください。

ここで再度「選択と集中」の話になりますが,勉強の最初の頃は時間が足りません。

問題点を全部書こうとすると、それこそ倍の時間が必要かもしれません。

そこで絶対に書かなければならない論点を厚く書くという訓練をすることになります。薄くしか論述していない部分は、問題点に気が付かなかったのではなく、意識的に取捨選択した結果だと言えるようになるのが理想です。

一発で論文式試験に合格⇒③予備校の論文答練の活用方法

また、予備校が実施してくれる論文答練も可能であれば有効利用しましょう。
論文答練は、一堂に会した場所で制限時間内に答案を完成させるという訓練です。

私の場合、個人的には予備校の答練は、制限時間内で解くことを目的で利用していましたので,得点は気にしませんでした(特に良い点を取った記憶もありません)。

論文答練を復習するときに重要なことは、既に学習していたのに答えられなかった問題がなかったかを抽出することです。

知らない判例や知識が出題されたら仕方ありません。諦めて解説を読み、知識資産を増やしてください。しかし,分かっていると思っていた論点を落としてしまった場合は要注意です。

うっかりミスの場合も分かっていると勘違いしている場合もありますので自分の理解度を正確に把握することに努めてください。

一発で論文式試験に合格⇒④答案を見返すことor添削してもらうこと

論文の過去問題を解いて、答案を書いた後は必ず添削をすることです。

「答案を誰かに見てもらうのは重要である。」

良く言われるこのことの意味はどこにあるのでしょうか。

もちろん第三者に褒めてもらうためではありません。問題点を指摘されるのがストレスで第三者に見せることを敬遠する人が多いのも分かります。

しかし,目的が明確であれば無理に第三者に見てもらう必要もありません。

ずばり答案を誰かに読んでもらう目的は「自身の解答の客観性を担保するため」です。
つまり,「他人が読んで内容が解るか」ということです。

自分が第三者の役割を果たせるなら第三者に答案を読んでもらう必要は無いのです。

自分が第三者になれる場合とは,先ほどと共通しますが「書いた答案を忘れたとき」です。

忘れた答案を読み返せばおのずと自分の答案の問題点に気付けます。

文章は長くないか,指示語が指している内容は適切か,無理な断定をしていないか,規範とあてはめは対応しているか等々自分の答案でも手厳しくチェックすることは可能です。

繰り返しになりますが,過去問は解き直すものなので,解き直しと過去の答案を見返すことはセットにしておきましょう。

一発で論文式試験に合格⇒⑤教科書や条文で復習すること

ここからは余談です。個人的に教科書をメインに勉強していたためにこの方法でも大丈夫だと思います。

テキストは何を利用しても良いと思います。

基本書でも予備校のテキストでも、合格に必要な情報量が足りているものがほとんどだと思います。みんなが使っているテキストであれば間違いないと思います。

ただ条文は確認するようにしてください。最も知っているつもりになって確認を後回しにしがちなのが条文です。

解釈論が問われている問題の場合,「この問題で聞かれていることはこの条文のこの文言だ」とずばり指摘できるはずなのです。

条文を読んだ段階でその条文についての判例解釈が透けて見えるようになれば理想的ですが、この条文解釈は一度理解しておけば現場で再構成することも可能です。

試験本番までは自力で法解釈してみて判例の法解釈を勉強するという作業を繰り返すことが重要です。

法科大学院修了生⇒初受験で合格するために

司法試験に合格するためには、論文試験対策に最も労力を要します。しかし最後まで完璧になることはないと思います。

「好きな科目の勉強は進むが,苦手科目は苦痛で仕方がない」

という状況にもなるかもしれません。みんなそうです。

しかし,科目によって点差は付けられていませんのでトータルで合格点を取りに行くという意識は常に必要だと思います。

個人的な経験をお話すると,試験本番、一番力を入れて対策をした民法で失敗をして全然点数がありませんでした。

しかし,一番勉強時間が少なく自信のなかった労働法でなぜか高得点がとれました。落とした分をカバーしてくれた気分でした。

そういうことも起こりうるのです。

個々の科目がずば抜けて良くできることは要求されていません。あくまで重要なのは総合得点が合格点を上回っていることだけなのです。

合格に向けて予備校を使い倒そう!

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