目次
令和5年度証券モニタリング方針(令和5年8月1日)
令和5年=2023年
P3,昨事務年度の証券モニタリングを通じて判明した事項
② 投資運用業者
運用の外部委託を行う投資運用業者において、自社が設定したファンド・オブ・ファンズ形式で運用する投資信託に関し、商品特性に応じた調査を十分に行っていないなど、運用財産の運用・管理を適切に行っていない事例が認められた。また、REIT やインフラファンド等の投資法人の運用を行う資産運用業者において、物件取得に係る調査が不適切な状況や、保有物件の収益管理が適切に行われていない状況という善管注意義務違反や、利害関係者との取引の適切性について事後検証が行えない状況等の利益相反管理態勢に不備が認められた。
証券モニタリング概要・事例集と紐付け(P15~)
令和5年8月事例集→令和4年度の事例
- 投資一任報酬の減額に係る内部管理態勢の不備→顧客に対する損失補てんや特別の利益提供に該当するかを検証してない。
- 利益相反管理に係る態勢不備 →アクセス管理が不十分
- 投資法人が保有する物件に係る不適切な収益管理〔金商法第 42 条第2項〕→投資法人が保有するホテル物件の大半は、スポンサー関係者が賃借人及び運営管理会社であるところ、賃料算定の基礎となる GOP(業務粗利益)を適切に検証する態勢が構築されてなかった。そのため、賃借人である スポンサー関係者が負担すべき本部経費が費用計上され、投資法人が得る賃料収入が減少していた。
- 投資法人が負担する費用に係る不適切な状況→投資法人が取得前から空調設備が故障していたことを取得後に認識したものの、売買契約書を踏まえた売主の認識や工事費用の負担について、確認や協議を行わなかった。コンプライアンス委員会においてその工事費用の負担について疑念が示されていたにも関わらず、議論や説明が徹底されず、放置されたていた。さらに、当該物件の取得に際し、PSAに基づいて精算すべき修繕費用の精算を看過し売主の負担費用を投資法人に負担させた。
令和4年8月事例集→令和3年度の事例
- 投資法人のために忠実に投資運用業を行っていない状況〔金商法第 42 条第1項〕→親会社の不動産を親会社の売却希望価格で投資法人に取得させるため、鑑定評価を依頼する不
動産鑑定業者に対し不適切な働きかけを行っていた。最も高い評価額を提示できる不動産鑑定業者に依頼できるよう、不適切なプロセスで不動産鑑定業者を選定した。 - 投資法人資産運用業に係る善管注意義務違反等〔金商法第 42 条第2項〕→親会社から不動産を投資法人に取得させるにあたり、物件価格の算出を行っていないほか、多数の不備があった。(信託設定の登記の登録免許税等の費用負担についてPSAと異なる対応、物件の不具合の発生時点や費用負担を十分に検討することなく工事を実施し投資法人の費用としていた等。具体例は原書面にて確認)
P4 業態横断的な検証事項
④ AML/CFT に係る内部管理態勢の定着状況
⑤ 内部監査の結果及び自主規制機関の監査等で指摘された事項に係る改善策及
び再発防止策の取組状況
P6 規模・業態別の主な検証事項
(6)投資運用業者
運用の実態把握、運用管理態勢(外部委託運用に対するものを含む)、利益相反管理態勢の整備状況等について検証を行う。
P7 証券モニタリングの進め方
検査においては、実質的に意味のある検証や問題点の指摘に努めるほか、個々の金商業者等の特性や検証事項に応じて、デジタルフォレンジックを実施することにより、深度ある検証を行うこととする。
また、単に問題点を指摘し行政処分勧告等を行うにとどまらず、問題の全体像を把握し、問題が発生した原因を究明することにより、実効性のある再発防止策の策定につながるよう取り組んでいく。さらに、問題が顕在化していないものの、業務運営態勢等について改善が必要であると認められた場合には、検査終了通知書等に「留意すべき事項」として記載して、証券監視委の問題意識を検査対象先と共有し、実効性ある内部管理態勢の構築等を促していくこととする。