CAEによる部門管理
1.監査資源(人・金・時間)の管理
- CAEは、監査計画と必要な監査資源について、取締役会・最高経営者の承認を取得する。監査資源の制約による影響も伝達する。
(重大な中途変更を含める)2020 - CAEが、内部監査スタッフの募集を行うにあたり、内部監査人の要件は「取締役会・最高経営者と話し合う」
→募集するスタッフの要件は、部門内に必要なリソースと、現在の部門内のリソースの差異に基づくべき。
→取締役会と最高経営者との話し合いは、必要なリソースを特定するために取るステップの1つである。
- CAEは、監査資源が承認された計画達成のために、適切(知識技能能力)・十分(量)であり有効に配備されていることを確実にする。
2.アウトソーシング
- 全部委託の場合→マネジメントの時間が最小限になる
- 一部委託の場合→通常の監査とマネジメントに変化なし
3.監査リスク
監査リスク | =固有リスク ×統制(失敗)リスク ×発見(失敗)リスク |
- 固有リスク→変化しない
- 統制リスク→フロントがコントロール
- 発見リスク→監査人がコントロール
- ※重点取組は「高い固有リスク」と「高い残余リスク」を持つ分野
4.部門を有効に管理(2000)
CAEは、組織体に価値付加できるよう、部門を有効に管理する。
- 基本規程に定めある「目的・責任」を達成する
- 部門と人を、基準・倫理要項に適合させる
- 組織体に影響あるトレンド、新しい課題に注意を払っている
(競合他社、新サービス開発)
コンサルティング(提案)の努力をし、客観適切なアシュアランスを提供しているときは、組織体と利害関係者に価値付与しているといえる。
5.部門を評価する
○対象部門にアンケート
○内部監査人の業務遂行状況をレビュー
○QA&IPを実施
○同業と比較(ベンチマーキング)
6.CAEによる内部監査人の業績評価(面談)
- 業績評価の個人面談では「個人的な話題」から始めることは適切な手法である。
- しかし、どのような話題を選択するか否かは「内部監査人の趣味嗜好、性格」等を十分に考慮して、十分に注意して検討する。
CAEによる監督行動
CAEは、
- 個々の内部監査人が「知識・技能その他の能力」を育成できる機会を提供する
- 部門全体として能力を有するようにする
実施計画・手続書 | CAEが承認 |
監査調書 |
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(レビューの証跡) ○監督者のイニシャル、署名(日付入り) ○システムの中で電子承認 ○レビューのチェックリスト ○レビューの内容・範囲・結果を示すメモ ×調書の品質評価(業績評価) ×ティックマーク(特定の手続実施) | |
監査報告書 |
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連携と依拠(基準2050)
連携と依拠
- CAEは内部監査計画策定にあたり、連携と依拠に関する一貫したプロセスを構築すべきである(適切な内部監査の範囲を確保し、業務重複を最小限するために)。
- 他のアシュアランス提供者との連携は「限定することなく」考慮すべき(監査資源が不足している場合に限定しない)
- 内外の評価者と連携(調整)した場合には、その仕事に依拠(業務の重複を避ける)することができる。
- しかし連携することは義務ではない。
→条件:連携(調整)した場合
- 専門用語・監査技法・監査方法の相互理解
- 監査調書の相互閲覧
- 監査範囲の調整
③監査範囲(アシュアランスの範囲)の連携(調整)
- アシュアランスの対象範囲について連携する方法の1つに、アシュアランス・マップの作成がある。
- アシュアランスの範囲は「取締役会」が決定する。
(アシュラランスマップ) | リスク部 | 内部監査室 | 外部監査 |
業務 | ○ | ||
財務 | ○ | ||
コンプラ | ○ | ○ |
監督責任
CAEの監督責任
- CAEは、内部監査と外部監査の調整をする責任がある。
(効率化、重複排除のため) - 内部監査を外部に全部委託するには「取締役会」の承認が必要。
内部監査の監督は「CAE」の責任 | 外部監査の監督は「取締役会」の責任 | ||
社内で実施 | 外部委託で実施 | 財務諸表監査 | |
・改善措置のフォローアップまで | ・改善措置のフォローアップまで (通常は内部監査室がフォローアップを実施する:外部監査契約の範囲外) | ||
・CAEは改善措置を監視するための適切な手続き(フォローアップ、モニタリング)を定着させる責任がある。 |
経営者・取締役会への活動報告(2060)
CAEは定期的に最高経営者・取締役会に報告する。
●活動報告書について、
Ⅰ. 内部監査部門長は定期的に(少なくとも1年に1度以上)活動報告書を最高経営者と取締役会に報告する。
Ⅱ. 最高経営者と取締役会への報告頻度は、CAEと最高経営者・取締役会が協議して決定する(伝達情報の重要性と、緊急性により異なる)
<基準の伝達事項>
・内部監査基本規程(目的・権限・責任)
・監査部門の独立性
・監査計画、計画の進捗状況、結果
・必要とされる監査資源
(人員計画等からの逸脱理由や今後必要となる処置)
・倫理綱要・基準への適合性(重大課題対処の改善計画)
・CAEが受容し難いと考えるリスクへの経営者の対応
・違法行為、利害関係
・不正リスク、ガバナンス上の課題、経営者・取締役会が監視なる事項
(重大なリスクとコントロール上の課題)
等
<基準外の伝達事項>
●以下はCAEが使用する可能性が高いのは内部監査部門の進捗状況を測る「重要業績評価指標(KPI)」である。
ただし、KPIは基準では要求されてない。KPIは実施ガイドで推奨されているだけである。
- 監査計画が完了した「割合」 ⇄
「数」 - 提言が受け入れられた「割合」 ⇄
「数」 - 報告書発行にかかる「平均所要時間」
- 経営者の改善措置の状況